大切なのは企業規模ではなく、
伝えたいという意欲。
効果につながるデザインであるために。
多くの中小企業・小規模事業者さんでは、日々の業務が「作る=製造、またはサービスの提供」に重きが置かれ、「伝えて売る」ことが後回しという現状があるようです。
広告宣伝部や専任担当者がいる大企業とは違い、伝えること=お客様への情報発信・提供に、恒常的かつ専門的に取り組むのは難しい現状があります。
そもそもお客様向けのコミュニケーションの経験やノウハウが少ないことなどもその理由の一つです。
加えて、デザイン経験が無いと、進め方がイメージできないなか、効果を発揮しにくいデザインを生み出してしまうことに陥りがちです。
これらの点から考えると、大企業は「伝える」ことを重視し、商品サービスの裾野開拓・認知獲得を続けてきたから、規模を拡大できたという考え方もできるかもしれません。
「作る力」を「伝える力」で加速する。
一部の大手企業を除いては、どんな会社でも概ね同じような環境にあります。
制約がある会社、デザイン経験が無い又は少ないという会社のほうが多いのが地方の現状です。
それらを踏まえた上で、中小企業・小規模事業者でも効果を出せる方法、「作る力」を加速できる「伝える力」をデザインで生み出す方法とはどんな方法でしょうか。
たとえば、自社の1店舗で年間1000個販売する商品のパッケージと、チェーンストアを中心として年間10万個以上販売する商品のパッケージでは、必要な要件が全く異なります。
どんな方法を採用するにせよ、すべての根幹は「伝えたい」「知ってほしい」という意欲。大企業でも小規模事業者でも、「伝えたい」という気持ちがすべての始まりであり、最も重要なことだと考えています。
小さな会社に「伝えること」をお勧めする理由
営業・販売人員の少なさをデザインでカバーできる
営業担当者がいないなど、「売る役割」の担当者が少ない会社こそ、デザインで少ない時間・人員の効果を増幅させることができます。
小さな会社こそ一貫性を保ちやすい
小さな会社では代表者やコアメンバーの意思統一が図りやすく、どんな場面においてもメッセージの一貫性を保ちやすいという利点があります。だから効果が出るのが速いのです。
デザイン未経験会社は伸び代しかない
「作ること中心企業・事業者」さんにとっては、デザインで伝えることは初めての経験であり、未知の領域。やってなかったことだから、正しく取り組めば伸び代が大きいものです。
「伝える」ことが後回しになる理由
- 人員・時間・資金など経営資源に限りがある。
- デザインで効果が出た参考事例を聞いたことがない。
- デザイン=見た目という誤解から、販路開拓や販売促進に効果があることをご存じない。
- 経営層や上層部がデザインに対する理解が無かったり、苦手意識をお持ちである。
- 担当部門や担当者がいないため、継続的な取り組みを行いにくい。
初めてのデザイン導入では、経営・事業の中でデザインを捉える視点が重要。
デザインは消費者との最初の接点という大事なパートを受け持つ一方、あくまでも経営要素、事業要素の一つに過ぎません。
デザインを導入するときには、計画そのものや、商品企画・製造・営業・物流など他の要素との兼ね合いを十分検討しなくては、なかなか効果がでにくいものです。
つまり「デザインだけを見ていては、効果的なデザインはできない」のです。経営や事業戦略への理解がデザイナーにも必須だと言われるのはこうした理由です。
経営要素としてのデザイン、事業要素としてのデザインという考え方こそ小さな会社のデザイン導入の鍵であり、マーケティング志向の中でデザインを捉えることが大切だと考えています。