パッケージのデザイン

バイヤー・消費者に届くパッケージ。

新しい販路を開拓し、
売場でお客様と出会うために。

まずは売場に並ぶために。

自社で小売店やECサイトを保有して、自前で集客から行っている場合は別ですが、他社の小売店やECサイト、ギフトカタログなどでの卸販売を行う場合には、まずは該当商品を採用してもらう、つまり紙であれWEBであれ、「売場に並ぶ」ことが販路拡大の第一歩となります。

小売店やECサイトを保有する会社は、各社それぞれのお客様像、購買行動などをよくご存知です。

その商品採否基準には、自社の方針や品揃えのコンセプト、衛生レベルなどの項目のほか、「こういう商品はうちのお客様が喜んでくれそうだ」「今まで扱ったことはないけれど、うちのお客様が好きな◯◯な要素があるな」というお客様の嗜好に基づく項目も必ず入っているものです。

それらの「お客様が好むであろう要素」がパッケージに現れているかどうか、バイヤーさんはその点をチェックされています。

なぜならお客様はパッケージを見て商品の購買意思決定を行うからです。CMをバンバン流すなどの事前認知を獲得できない商品の場合、パッケージにその魅力が現れていないものは「売れないだろうな・・・」という烙印を押されてしまいます。実際、店頭に並んでも売行きは芳しくありません。

「中身はいいけどパッケージがね・・・」というバイヤーさんからのフィードバックは、パッケージ・デザインが間違っている、またはそのせいで損しているということを意味していることが多いようです。

次に売場でお客様と出会うために。

バイヤー商談で採用が決まり売場に並んだ後は、その売場でお買い物をされるお客様との出会いを創出することがパッケージ・デザインの役割です。

さまざまな商品情報を熟知して採用を決めてくださったバイヤーさんは店頭にはいらっしゃいません。売場を利用するお客様に商品の魅力を伝えるのは・・・・・パッケージ・デザインのみができること。

ECサイトやギフトカタログにおいては、そのページに掲載されたサムネイル(写真)・商品名が店頭におけるパッケージ・デザインの代わりを果たします。

どんなパッケージ・デザインにするか、どんなサムネイル写真を何枚準備するか、文字で伝えるべきことは何か。

売場が違えばお客様も商品用途も変わります。売場ごとに最適化した商品情報を提供できるかどうか。

売れ行きの鍵を握っているのは、購買時に伝達できる「商品情報」です。

機能しないパッケージ・デザインが生まれてしまう3つの理由

「◯◯みたいな感じで!」

「◯◯みたいな感じで!」

◯◯には例えば「お茶」とか「電池」とか商品ジャンルの一般名称が入ります。外してはいけないジャンルごとの「らしさ」がある一方、他商品との違いが見えない、独自性のないパッケージ・デザインをまとった商品の売れ行きは低位となることがわかっています。特にセルフの売場でその傾向は顕著です。

「売場? 行ける所全部!」

「売場? 行ける所全部!」

売場、もっと言えば棚・コーナーによって求められるデザイン要件が異なります。業態を越えクラスを越え多彩な売場で展開している商品もありますが、その業態の勃興期に店頭に並び始め、早い時期に基本顧客を獲得している商品であることが多いのです。成熟した売場への新規参入で通用するかどうか・・・なかなか難しい現状がありそうです。

「おしゃれにして!」

「おしゃれにして!」

おしゃれが一番の目的になったものは、「おしゃれをモノに託している売場」以外ではあまり動きがよくありません。目指す売場が「おしゃれ」が一番必要な要素かどうか、今一度検討したほうが良いかもしれません。もちろん、おしゃれの幅もそれぞれ。機能的なものが求められる売場においても、その売場らしいおしゃれの実現方法はありそうです。

パッケージ・デザインが生み出したエピソード

  • 「これはうちのお客様が好むタイプ」とバイヤーが気に入り新しい販路を獲得できた。
  • 記憶に残りやすく、お客様が「このお店であの商品扱って」と要望してくれて、新しい販路を獲得できた。
  • 類似商品の5倍の価格設定だが、「高い値段の意味が理解できる」として、希望していた売場で採用された。
  • パッケージ・デザインと商品そのものの体験にズレがないため、商品リピート率が高く指名買い時の目印になっている。
  • ありそうで無かったデザインとして注目され、テレビや新聞などマスメディアからの取材が増えた。

20世紀で終わった「食べたらわかる」「使えばわかる」。

「うちの◯◯、食べたら美味しいってわかるよ/使ったら速いのにびっくりするよ」とは今でもよく耳にするフレーズではありますが、世の中に存在する商品・サービスの選択肢数が圧倒的に増えてきた21世紀の今、通用しにくい場面が増えているようです。

21世紀は「わかったら食べる/使う」時代です。

さらにさらに。
コロナウイルスとの共存が余儀なくされるウイズコロナ時代では、リアルな接点が減少します。

接点の回数も接点時間も減少または短縮されます。店頭の試食も無くなりました。店頭滞在時間も短くせよ、買い物メモを持参せよというのが「新しい生活様式=ニューノーマル」と言われています。実接点・実体験の機会は変化しており、ごくごく限られているのです。

「わかったら食べる/使う」は今後一層、加速度を増すように大勢を占めるようになるでしょう。

まず知っていただくこと。
そしてわかっていただくこと。
このステップ無しで、購入など体験を生み出すことは非常に難しい時代だと言えそうです。

田原屋「とりめしの素」
ハム・ソーセージ製造会社が取り組んだ新ジャンル商品。
(株)本坊商店「角打ち本坊」
酒販卸の会社が手掛けた酒のつまみをコンセプトとした新事業商品。
種子島松寿園 日本一早い新茶「松寿」
日本で一番最初の新茶という付加価値を見える化した商品。