ブランドのシンボルとして
機能するロゴマーク。
ロゴマークはブランドの記憶装置。
ブランドを象徴するものとして存在するのがロゴマーク。たとえば吉野家であれば、オレンジ色ベースに黒い筆文字で吉野家と書いてある・・・そんな風に「人の記憶に残り、同一のものだというサイン」になるものがロゴマークです。
つまり認知から利用、口コミなどを含むすべての体験を統合して対象者の脳裏に記憶として引き止めるフックのような役割を果たしているのです。
イメージするとロゴマークの周囲にいろんな体験・エピソード・情報がぶらさがっているような感じでしょうか。
コロナウイルス感染予防のため「新しい生活様式」が求められています。店内の滞在時間を短く・・・ということは、店内で新しい商品やブランドと出会う確率が減ってしまうということです。
同時にどこかに行くにも、新しい場所に行くのは何となく不安・・・という心情が払拭されるにはまだまだ時間が掛かりそうです。
いろんな意味で新しい商品サービスとの出会いがしにくくなり、「知ってるもの、経験あるもの、愛着あるもの」などの「ブランド」の価値が一気に拡大してきました。
ブランドとして存在しているかどうか。その価値はさらに高まっていくことでしょう。
愛着が持てるロゴマークを。
その会社や商品・サービスを象徴するイメージ(形状・色など)がある、同種のものと違う「らしさ」が現れているなどの要件があります。
最近ではオンライン化の進展に伴い、より形状としてシンプルな方向に進んでいます。時代を経て、事業内容やメディア構成の点で時代に合わなくなった時にはリニューアルすることもあります。
ロゴマークを新たにデザインするときは、機能的な要件に合うことはもちろん、当事者の方々が「これを掲げてやっていこう」と思える、旗頭にしたいと思える愛着が持てること、情緒的要件を満たすことも大切です。
愛着が持てれば、大切に使用するし、長く使用することにつながるからです。
ロゴマーク事例とその背景
こしき姫
鹿児島県薩摩川内市、東シナ海に浮かぶ小さな離島・甑島でパッションフルーツを栽培している甑フルーツ園。まだパッションフルーツの認知は十分に高いわけではないので、パッションフルーツの輪切りをイメージに、見た目とロゴマークの一致により記憶化を意図しています。
HALAL FOOD
10年以上に渡り鶏肉のハラルフード開発・製造・販売に取り組んでいらっしゃいます。ハラル認証を獲得できた段階で、自社独自のハラルマークをデザイン。日本の食=高品質の連想を狙って、日の丸をイメージするような赤い緩やかな円形を商品やパンフレットなどに付与。日本に住むムスリムや輸出で利用されています。
おにつか農園
おにつか農園さんはもともと「鬼塚」と漢字で表記していました。栽培技術に定評があり専門フルーツ店や仲卸で品質が高く評価されているため、「仕事の鬼」からの連想で高品質の証明として「鬼」という漢字をモチーフに。このマークはフルーツに貼るブランドシールとして利用しており、一般名称のフルーツを、固有名刺のフルーツ化し、小売店からも仲卸からも消費者からも代替するもののない、唯一のブランドとして指名買いされる存在になりました。
ロゴマークのデザインで起こりがちな5つの失敗
- 形状・色味がよく似たロゴマークが他に存在
- 使用場面が制限される複雑な形状
- 会社・商品・サービスが持つベき印象との乖離
- 使用のたび使用者が使いやすいように形状・色味を改変
- 商標登録をしておらず他社が先行申請
間違いのないロゴマークの決定方法。
デザイナーからは恐らく複数のデザイン案が提案されるはずです。
その中から選ぶ時に絶対に実施してほしいのは、様々な使用メディアに落とし込んだ時のデザイン・イメージの検証です。
たとえば
- 名刺
- 社用封筒
- 看板
- 営業車
- ユニフォーム
- 商品パッケージ
- WEB
- SNSアイコン など。
それらを実物大で確認すること。そうすることで、使用場面の多様性を担保することも検討時の大切な1プロセスです。