制約のおはなし
STUDIO Kでは月曜日のお昼を一緒に食べようという月曜食堂なるものを
激忙シーズン以外は実施しております。
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基本白いスクエアな1プレートに主菜と副菜を盛りつけ、それにごはんと汁物という
ベーシックな器の中で作ることになってます。
しかもオフィス内にシンクがないため、できるだけ給湯室に行く回数を押さえるという
事前のプランニングが効率を決めるところがあります。
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もう一つはカロリー計算。
栄養士のタッキーさんが計算してくれるのですが1食500kcalを切るのが
ある種のゲームのように皆の目標となっておるわけです。
ちなみにunder500は過去2回のみ。
このゲーム的枠組みのおかげでタニタ食堂の500kcal弁当なぞ、
プロがおいしさやリピート性も踏まえたうえで計算しつくしたものだとわかったりします。
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お皿の種類が限られており所与のものを使わざるをえないこと、
洗う回数をいかに減らして効率的につくらざるをえないこと、
under500kcalというゲーム的な目標ラインを達成したいこと。
会社という不慣れな場所で作るにしては3つも制約条件があるわけです。
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なんだけれども、これが案外おもしろい。
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誰が何のメニューを作るか。
どうやって味付けしたか、調理上の工夫は何か、
食材を使い切る工夫をどうしているかなど
制約を超えたシアワセな満足ランチが毎回準備されております。
味付けの話や家庭の話、子供の頃の食習慣の話ができるのも
この月曜食堂のおかげです。
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私は「制約結構」、「制約上等」と思う派でして、
制約があるほうが結果がでる、面白いものができるという確信があります。
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制約は望んで作るものではなくて、たいてい所与のもの、
でもその「所与」のものをクリアしようとすると、単なる条件クリアを超えて、
棒高跳びのような、ちょっとヒュンっと何かを超えるようなポイントが訪れるのです。
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まあ、ハイパー・クリエイティブな人にはそんな制約は必要じゃないんだと思いますが
いたってふつうの私たちがちょっとスーパーなことをしようとするとき、
制約と格闘することが、スーパーなことに近づけてくれるように思います。
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そういえば、日大の教授でもある彫刻家の方がおっしゃってました。
「彫刻だって制約があるから華が咲くんです」
-彫刻の制約ってなんですか?
「よくあるのは展示する場所の制約。
会場は屋外か屋内か、広さは?、周囲の環境は?
そういうことは明らかに制約なのですが
その制約を意識してからのほうが、面白いところに行くんですよね、像が、自分で」
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おそらく制約というのは小説やマンガなどの登場人物のキャラクター設定に似た所があって
「こういう場面でどうするか、振る舞うか」という思考プロセスから
企画やら彫刻やらのキャラ設定が深まって、
ひとりでに歩き出しやすくなるという仮説をもっています。
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自走する企画、自走する彫刻。
押してあげないと行けない企画よりも、自走する企画のほうが面白いに決まってます。