withコロナ時代の小さな会社の適応戦略-0
【目次】
1:なぜこの記録を始めるのか
2:コロナに関するひとびとの関心
3:コロナに適応する前に準備したこと
・第1局面 自分ごと化とヒアリング開始
・第2局面 ヒアリング結果の検討と行動指針に関する情報収集・案出し
・第3局面 決定
・第4局面 実行→初動完了
・第5局面 コロナ適応に向けてサービス再編成の検討開始
4:準備をしてよかったこと
・1)自社のスタンスが決まったこと。
・2)精神が安定したこと。
・3)相談対応力があがったこと。
5:さいごに
1:なぜこの記録を始めるのか
コロナ真っ只中。ここ鹿児島の新型コロナウイルス感染者は現時点で4名。都道府県別の発症者数で比べると、そんなに大きな数値ではありません。ニュースでみる東京などと比べると、ゆるやかな自粛レベルではありましたが、4月上旬の全国7都府県での緊急事態宣言発令以降、様相が一変しました。
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7都府県の動きに合わせるように1ヶ月程度の休業を決めた飲食店が目立ち始め、各種相談窓口の混雑ぶりが頻繁に耳に入るようになりました。大手企業や自治体を中心に県外出張禁止、対面会議についてもたとえ組織内のものであっても極力減らすようにという方針を出すところが増えてきました。その他、何があっても社内では常にマスク着用令、私的なモノ含めて街での飲み会控えるように、社内食堂の利用方法も混雑を避けるように時間帯で同時間帯利用人数を制限するなど、さまざまな話が耳に入ってきます。昨日は県内で初めてコロナウイルスを引き金とする倒産のニュースも報道されました。
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そんな鹿児島という地方で小さなデザインとマーケティングの専門会社を経営しているものとして、5月6日の(現時点での)緊急事態宣言最終日が近づくまでに考えておきたいことが多々有り、その考え決定した記録を残しておきます。
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今回のような時々刻々と事態が変わるできごとの中では完全なる見通しは不可能で、タイミングごとに最適な判断をすることが求められるわけですが、不確実であることを受け入れながら、FACTの中から確度の高い気配を拾い集めたいことが背景にあります。
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2:コロナに関するひとびとの関心
まずはコロナの話題がどんな変化をしてきたか。「コロナ」という言葉での検索数の推移グラフです。
①武漢の滞在歴がない人から陽性反応、武漢からの帰国者のうち自覚症状がない人の中にも感染者がいたことが発表された日。
②春休みまでの学校の一斉休業要請がなされた日。
③蔓延の恐れが高い旨の報告と海外渡航制限や入国時検査などが発表された日。
→その直前3月24日夜に東京オリンピック・パラリンピックの1年延期が発表された後でもあります。
④東京都で2日連続の感染者数最多を更新、スタバ過半数の店舗の休業入、各地で発症者増加、自治体首長の会見活発化。
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海外→政府→各都道府県→周囲とコロナウイルスの話題・影響が、わたしたちのすぐそばまで迫りきたことがよくわかります。2月半ばまではあまり具体的な情報がなく、どこか遠いところの話しとして感じていたことはよく覚えています。それが2月の学校休業で一気に「自分ごと」になったというのが鹿児島という地方の現実だと捉えています。
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3:コロナに適応する前に準備したこと
ワタクシも小さいながらも経営者。何かしなくては・・・とは思うものの、情報ばかりが集まり何となくふわふわして方向が定まらない時期もありました。これではまずい・・・と思って足元固めから始めることに軌道修正。どこかに確かな、確実性ある拠り所・根拠・事実を作りたかったのだと思います。そんな私の考えたことと行動の記録。
【第1局面 自分ごと化とヒアリング開始】
①2月10日(月)
鹿児島市内大手ホテルの方から雑談の中でアジアからの宿泊予約がほぼ100%キャンセルの話を聞く。これは大きいぞと取引先や中小企業支援者や自治体職員などの知人に各種ヒアリング開始。
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②2月21日(金)
2月22~24日に予定されていた鹿児島ラーメン王イベントの中止の発表。
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③2月25日(火)
福岡で初めての発症例。3月1日に予定されていた鹿児島マラソンも中止の発表。3月10日に福岡で予定されていたトークイベント中止の報。
→②③鹿児島での危機感が一般化・定着した。
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④2月26日(水)
弊社の業務の中で多人数と接触するものがあるかどうか最終確認。3月6日開催予定のものはすでに中止決定済。
→天文館動静としては、観光客メインのお店:6~9割減、固定客のいないグルメサイト集客のお店:8~9割減、地元常連中心のお店:1~3割減くらいの感触。
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【第2局面 ヒアリング結果の検討と行動指針に関する情報収集・案出し】
⑤3月2日(月)
各所へのヒアリングの結果、程度は不明ながら影響が出ることは確実と感じ、実施することをリストアップ。今年度の最終見込(弊社は5月末決算)、来年度の予算と損益分岐点計算、キャッシュフロー試算、コロナ対策関連での融資情報等収集、新サービスの開発計画など。新サービスの開発以外のことを初動として3月中に終えると決定。ヒアリングは定期的に実施しよう。
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⑥3月10日(火)
マスク着用・消毒液もってソーシャルディスタンス守りながら福岡出張。新幹線の1車両に数人しか乗車していなかった。もういっとき出張できないナと確信。
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【第3局面 決定】
⑦3月13日(金)
税理士の先生と試算結果などの打合せ。業種・規模のわりにけっこうキャッシュが厚いが、先が読めないだけに手元現金を増やしておくとう方針には賛成いただく。そして金融機関に融資相談。時期が早すぎるような気もしたが、日々コロナの影響が拡大していくと、借りるにも時間がかかるようになると思い、早めに動く。同時に以前からあたためていたサービス商品開発を今すべきと感じ、今はありがたい制度を活用させていただこうと持続化補助金の申請相談にいく。
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⑧3月14日(土)
懇意でメンター的なベテラン経営者数名と電話。売上げや損益より「手元キャッシュ」が一番大事だという話が共通。経営方針は「生き延びる」だなと確信。
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【第4局面 実行→初動完了】
⑨3月19日(木)
金融機関からの連絡で正式申込。書類が届いてからの手続き等を教えて頂く。この週から持続化補助金の申請書作成本格化。
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⑩3月24日(火)
大手企業に勤める友人や医療関係者にヒアリング、相当なレベル(範囲)で、かつ、レンジ(期間)で影響がでると確信。ここで「afterコロナをじっと待つ」という幻想を一切捨てた。会社全体をコロナ時代=非接触時代に適応させると決めた。
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⑪3月25日(水)
コロナに関わる影響に関して事実をマップにまとめる。続いて、自社の経営に関する影響を事実と予測の側面からマップにまとめる。
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⑫3月26日(木)
コロナに関わる食品業界への影響を事実と予測の側面からマップにまとめる。この段階でとるべき行動がだいぶん見えてきた。
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⑬3月30日(月)
融資も持続化補助金も申請終了。「こういう時は出す金を小さく、できることはすべてやれ、やるべき開発はやれ」とのベテラン経営者のご助言いただいたこと、すべて終了。
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【第5局面 コロナ適応に向けてサービス再編成の検討開始】
⑭3月31日(火)
足元の整備が終わったので、これからは事業活動の適応計画に着手。全業務の洗い出しから開始。
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⑮4月6日(月)
都度共有はしていたが、改めて、コロナに対する考えを社員と共有。社員の身体の安全と精神の安定は私の中でもっとも重要度が高いものとしてセットした。
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4:準備をしてよかったこと
1)自社のスタンスが決まったこと。
すべて不確定、不確実という状態から脱することができました。獏とした不安はなくなり、何が課題か明確化したことで、情報選別・判断や意思決定が劇的に速くなり、行動に無駄がなくなりました。
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基本方針は「生き延びる」。
売上利益よりもきちんと生き延びること。非接触購買の比率が高まっていくこのwithコロナ時代において、経済活動におけるコミュニケーションの重要性はさらにましていくはず。
そのときに鹿児島や地方の企業様たちのお役にたてる会社として存在していること。これが最上位です。
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思考のコンセプトは「withコロナ時代への適応」。
afterコロナを待って我慢するだけでは、いつまで続くかわからないこのコロナとの共生時代を生き抜けない。コロナとの付き合い方を考えつつ、コロナで変わる人の心や行動を予測しつつ、弊社ではafterコロナという幻想を捨てて、withコロナで考えます。
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2)精神が安定したこと。
どちらかというとかなりストレス耐性が強い私ですが、それでもさすがに3月上旬から中旬まで、獏とした不安が心に渦巻いておりました。何が課題かわからないのは一番つらい。キッチンで料理してても2日続けてお皿を割ったり・・・。たぶんコロナで気が散ってていたんでしょうね。それが、初動としてすべきことが全て終わり、経営スタンスが決まったことで、非常に精神が安定しました。不安がないわけではないですが、アレとコレをやるしかない!と、確信ある課題設定ができたのは本当によかったです。
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3)相談対応力があがったこと。
自社やお客様の市場環境も一通りあらいだし、今後の変化予測もかなりできてきたので、弊社のお取引先様からのご相談にもかなり確信をもって対応できるようになりました。私と同じように、不安を抱えた経営者様は多くいらっしゃいます。業界により、業態により、規模により影響はさまざまですが、経営者の不安にも、経営上の課題にも共通点があります。弊社をご用命いただくお客様といっしょにwithコロナへの適応を進めたいと考えています。
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5:最後に
今取り組んでいるのは、弊社のサービスの再編成です。先が見えないことが多い中ではありますが、それでもかなり確度の高い、確信めいた予測もあります。それらをどう弊社のサービスに組み込むか、転換するか、4~5月はそこに取り組んでいく予定です。同時に、その「確信めいた予測」についても明日から1つづつまとめていきたいと思っています。個人的にはよく食べ、ほがらかに笑い、しっかりお風呂につかって、がっつり寝るということを心がけつつ、どうぞいっしょにwithコロナ時代に適応しましょう。