食とデザイン調査レポート
レポート:No.002

パッケージデザイン分析~1・セブンイレブンの金のボロネーゼ

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食品のパッケージデザインには、お客様に気づいてもらう、商品内容を正しく伝えるなどのいくつかの役割があります。その限られたスペースに書かれた言葉、置かれた写真・イラストには作り手の思いが反映され、何かしらの意味や意図があるものです。

お店で見かける、食べる食品のパッケージ・デザインについて、愛あるがゆえの妄想込みで勝手に想像してみる「パッケージデザイン分析」。

第1回はリニューアルされたセブンイレブンさんのセブン・プレミアム・ゴールド「金のボロネーゼ」です。

1.ストックしている「金のボロネーゼ」

金のボロネーゼ

平日ランチは基本お弁当なのですが、準備できなかったときにお世話になる率が高いのが、この「金のボロネーゼ」。冷凍庫にこっそりストックしているお気に入りです。

冷凍技術の進展は著しいものがありますが、数ある冷凍パスタの中でもこのボロネーゼ、恐らくトップクラスではないでしょうか。温めたときのパスタの食感・歯ごたえが絶妙で、ボロネーゼソースが良くからむ中太タイプ。ソースも粗挽き牛肉がたっぷりで、味付けは「これぞ、ザ・ボロネーゼ」と言いたくなるもので、トータルで「お値段以上」と感じております。

このボロネーゼは、セブンイレブンさんのプライベート・ブランド「SEVEN PREMIUM gold」シリーズの1つです。そのパッケージが変わったことは気付いておりましたが、いつもお世話になっているので、しっかりとその変更を読み取ってみましょう

まったく的外れだったり、考えすぎなこともありそうですが、お付き合いください。

2.パッケージデザインのビフォー・アフター

金のボロネーゼ パッケージデザインのビフォー・アフター

このパッケージデザインの変更は2024年9月のことだそうで、シリーズ商品全体を統一して変更されています。シリーズ名称にふさわしくゴールド的色調を背景に、黒い皿の上に盛りつけたおいしそうなボロネーゼの写真。

でもよくよく見てみると、いろいろと変更が入っていますが、核となる変更点はこの3点だと思われます。

  1. 商品名のロゴタイプ変更、シリーズ名記載、商品特長の変更
  2. 調理上の注意点のレイアウト位置変更
  3. 皿盛り写真の撮り方・レイアウト位置変更

3.変更①商品名ゾーンの変更内容とその理由は?

金のボロネーゼパッケージ 商品名周辺ゾーン

1点目は商品名周辺ゾーンの変更です。

  • 商品名「金のボロネーゼ」が右肩上がりの筆文字からちょっと太めの明朝体に。
  • このゾーンに記載が無かったシリーズ名「SEVEN PREMIUM gold」と追加。
  • 商品特長が「牛肉を贅沢に使用」から「牛肉とデミグラスの贅沢」と変更し、ポイントも大きく。

結果として商品名ゾーンの情報量(文字量)が増えましたが、筆文字が明朝体になったことで情感的情報量が抑えられてもいます。

4.変更②調理上の注意点の位置はなぜ変わった?

金のボロネーゼ 黄色地の四角いコーナー

2点目は黄色地の四角いコーナーに関すること。

スペース右側に縦長配置だったものから、下部の横長配置に変わりました。結果としてパッケージの上部6割が商品名+商品写真のみと整理され、商品性がより際立つすっきりした形になりました。

このレイアウト配置の理由を考えてみましょう。

調理時、左下のフタを点線部分まであけてからレンジアップするため、その近くに調理情報があるほうが、より利用者が確認しやすい親切設計です。

他の理由があるとすれば、リーチイン型の冷凍庫への対応。オープンショーケースでは目の高さからパッケージ前面全体が見えますが、縦型のリーチイン型では商品は立てて陳列され、パッケージ下部面は見にくくなります。

ビフォーだとシズル感あるパスタ写真が下部の配置、せっかくの美味しさが伝わりにくいですね・・・。そこで、より見やすい場所に移動となったのかもしれません。

5.変更③皿盛り写真の撮り方・レイアウト位置変更

金のボロネーゼ 皿盛り写真の変更

3点目はそのシズル感あふれる皿盛り写真の変更です。

レイアウト位置は前項で触れましたが、写真の撮り方も「正面斜め上から真俯瞰へ」と変わっています。写真を置く位置が上目になるのであれば、真俯瞰の方が合うし、真俯瞰にはちょっとかっこよい感じも漂います。プレミアム感・・・?

真俯瞰写真となったことで、スペース全体に占めるボロネーゼソース、及び黒い皿の面積比率がUPしました。ソース面積が増えれば濃厚イメージが強調されます。黒い皿面面積が増えれば背景のゴールド的色調とのコントラストが強まり存在感が高まります。
※ちなみに同シリーズの「金の蟹トマトクリーム」は白い皿を使用。

6.一言で言えば「味の濃厚さイメージ」

金のボロネーゼ 中身

いろいろと考えてみましたが、このパッケージデザインのリニューアル、何が一番変わったか?

それは「味の濃厚さイメージ」。

写真が変わりボロネーゼソースの面積が増えました。
黒い皿の面積も増え、本物感や味の濃厚さイメージがアップしました。
商品説明も「牛肉を贅沢に使用」から「牛肉とデミグラスの贅沢」と変わり、ソースが新たな訴求点として追加されています。

実際、ソースの量もたっぷり。こういう商品の場合、たいていソースがちょっと足りないものですが、本商品はたいてい大匙1杯分くらいソースが残る…ぐらいたっぷり。

他にも黒い皿がリム付きになった、フォークが無くなったという変化もありますが、このあたりの理由はみなさんもぜひ考えてみてくださいね。

写真を撮ったあと金のボロネーゼいただきましたが、いつも通り、いや、いつも以上に美味しかったです! ごちそうさまでした!

今回はこれまで。

執筆者 中島秋津子

執筆者プロフィール

株式会社STUDIO K
代表取締役 中島秋津子

◯株式会社ベネッセコーポレーションでマーケティング・プロモーション・広告ディレクション・通信販売事業などの経験を経て、鹿児島に転居。
◯2007年STUDIO Kとして創業し、2014年に法人化。
◯「伝える力を会社と地域のエンジンに」という方針のもと、商品・サービスの魅力が「お客様に届き、より伝わりやすく」するサービスを、デザインと言葉の両面から提供。
◯趣味はウイスキー、エア野菜づくり。

<資格>PRSJ認定PRプランナー
中級食品表示診断士
食品生活アドバイザー(内閣総理大臣および経済産業大臣認定)