デザインに関わる仕事をする人は何人?
先日、会社にお電話いただきました。「デザインをお願いしたい」という嬉しいご連絡で、実際お会いした時にこんなことをおっしゃってました。
「あー、ここにデザイナーさんいた!って思いました」
飲食店を新たにオープンするにあたり、そのお店のロゴマークのデザインが欲しいと思ったけれどデザイナーの知り合いはおらず、WEB検索してSTUDIO Kの公式サイトをご覧くださったそうです。
ということで、デザイナーって何人いるの?と思ったのが今回の調査レポートです。
※ベースとしたデータについてはページ下でご確認ください。
1.デザイン業に従事する人は9万人弱

もっとも網羅的な調査と言えるだろう『国勢調査』からデザインを専門に請け負うデザイン業のデータを見てみました。
この中にはデザイン専門会社で働く事務の人も営業の人も含まれます。例えば自動車会社で自動車のデザインを担当しているようないわゆる「インハウスのデザイナー」だと他社の仕事を請けることができないので、広くデザインの依頼を受けられる人により近いと思われる「デザイン業=デザイン会社で働いている」人の数を参照することにしました。
すると、全国に9万人弱いるとわかりました。
働く人全体の中では655人に1人がデザイン業に従事していることになります。
2.鹿児島県では1500人に1人がデザイン業

次は鹿児島県のデータです。
鹿児島では480人がデザイン業に従事しており、就業人口の中では1539人に一人、約1500人に一人がデザイン業となっていました。
1500人に一人・・・というと、けっこう比率が少ないものですね。冒頭の「デザイン頼める人を知らない」ことが多々発生しそうな現状です。
3.都道府県別では鹿児島は下位

かなり細かい表となって恐縮です
縦に長~くなりますが、もっと大きいデータがこちらです。
表の一番右「デザイン業比率」を見ると
【比率が高い5つ】
1位 東京都 0.456%
2位 京都府 0.223%
3位 神奈川県 0.210%
4位 大阪府 0.207%
5位 埼玉県 0.166%
関東・関西という都市圏がずらり並びます。クリエイティブ産業は都市型と言われる通りの結果です。
石川県が6位0.135%なのは工芸が盛んな地だからと言えそうです。8位には高知県0.127%がランクイン、10位の福岡県0.122%よりも上位なのは意外な結果です。もちろん人数的には高知県390人、福岡県2750人と圧倒的に福岡県の方が多いのですが。
【比率が低い5つ】
43位 島根県 0.048%
44位 岩手県 0.046%
45位 秋田県 0.043%
46位 青森県 0.043%
47位 長崎県 0.040%
地方の県がずらり。クリエイティブは都市型職業説を裏付けるようなデータです。
ここで気になるのが北海道・沖縄。
北海道 25位 0.090%
沖縄県 16位 0.107%
強いブランド力をもつ北海道・沖縄は、比率が低い地方とはどうも状況が異なります。北海道庁の前身組織は非常にはやい時期(明治からの開拓期)に「図案課」を設け、道産産品の販売促進に「図案=デザイン」役立てようとした、沖縄はクリエイターのIターンが多いと聞いたことがあります。
鹿児島県はデザイン業従事者数では28位、デザイン業比率では34位となっています。比率は低く、地方のパターン通りと言えます。鹿児島の産物では「生産量は多いが知名度が低いもの、ブランド力が弱いものが多い」と言われることも多いようですが、それと何かしら関係があるのかもしれません。
4.鹿児島のデザイン業は増えている!

鹿児島県について、前回調査時データと比較してみました。
鹿児島県でのデザイン業比率は下位層ながらも、平成27年から令和2年の5年間でデザイン業に従事する人数・比率とも約1.5倍。就業者総数は変化ありませんので、新たにデザイン業に従事する人が増えていると考えられます。
鹿児島の就業業種の構成もほんの少しですが変わってきているようですね。その内訳を示すデータはありませんが、恐らくWEB系のデザイン業に従事する人が増えているのではないかなと想像しています。遠方でも従事しやすい点もありそうです。
この変化、デザインを仕事とする人が増える=情報発信の重視・強化の姿勢、デザイン会社としてはとても嬉しい変化です。
今回はこれまで。
出典:総務庁総務局「令和2年国勢調査」抽出詳細集計