デザイン費はどのくらいが目安?

デザイン費・デザイン料どのくらいが目安?

デザイン費の成り立ちと注意点

これまでデザイン会社やデザイナーとの取引がない場合、その費用の妥当性や計上方法などがわかりにくいようです。

デザイン費はどのように構成されているのかなどを説明しています。

1:デザイン費の考え方

デザインはすべてオーダーメイド、デザイナーによって見積書の項目も単価も異なりますが、デザインをするに当たって発生する基本的な費用を知っておくと、見積書を理解しやすくなります。

【クリエイティブな価値創出に関わるもの】
◯市場調査料
◯コンサルティング料
◯企画料
→上記3つをまとめて「マーケティング料」とする場合もある。
◯ライセンス料

【直接的な作業や付帯する経費に関わるもの】
◯人件費
◯作業実費(交通費、材料費、通信費、資料代など)
◯他クリエイティブ費用(撮影費、動画編集費、音声MA費など)

このように大きく2種類に分けることができます。

市場調査や販促企画まで社内で行った上でデザインを依頼するのか、それらデザイン前の段階から関わってもらうのか、提案してもらうのかで費用総額が変わってくるわけです。

またデザイン費は費用からのみ算出されるわけではなく、そのデザイン効果をどのように考えるかという方向からの観点も重要です。

2:デザイン費の勘定科目

何のためのデザインかにより計上する勘定科目が異なります。判断の概ねの目安となるものを挙げておきます。

◯ブランドロゴマーク=開発費(繰延資産、20万以上)か広告宣伝費
※商標登録した場合は、無形固定資産に計上し10年で償却
◯名刺・社用封筒=販管費:消耗品(印刷消耗品)
◯会社案内=販管費:広告宣伝費または消耗品(印刷消耗品)
◯商品パッケージやシール=原価:制作費
◯商品同梱の使い方リーフ=原価:制作費
◯包装紙・ショッパー(紙袋)=販管費:消耗品(印刷消耗品)
◯商品パンフレット=販管費:広告宣伝費
◯店頭POP=販管費:広告宣伝費

3:デザイン費の目安と妥当性

特に初めてデザインを依頼する場合には見積書をみても妥当なのかどうか判断しにくいものです。初めてで目安がないことと合わせて、だれにどこまでの範囲で依頼するかによって金額も千差万別だからです。

たとえばロゴマークをデザインするとしましょう。私が知っている範囲では5千円、1万円から最も高くて500万円まで。あまりに差が大きくて、目安にはしようがありません。

たとえば、マーク的なものがあれば何でも良いのか、多様な場面で使ってもシンボルとしての役割、視認性や記憶性、ユニーク性などを兼ね備えたものにしたいのかによって変わってきます。

たとえば上白糖はどこでかっても上白糖というように、同じ質のものが1万円か500万円かという選択であれば簡単ですが、デザインの場合はその質や効果が変わってくるから悩ましいのです。

とはいっても「予算」というものがあります。どこまでも青天井というわけにはいきません。

そのデザイン制作で何を求めるのか。
単なる飾りとしてのデザインか。
営業成果を出しうるデザインか。
まずはそのあたりを明確にしたうえで、具体的にオリエンテーションの上で見積もりを依頼し、検討してみてください。

4:デザイン費の投資効果を計算する

デザイン費の考え方には「回収」という観点が欠かせません。つまり、どうなればデザイン開発費は回収できたと言えるのか、ということです。

たとえばパッケージデザイン。今まで何となくデザインしていたものを戦略性をもって取り組むのですから、何かしら売れ行きに効果が現れるはずです。

商品の売上の計算式はこうなります。

売上=顧客数×顧客単価

売上増を見込むということは、ざっくり顧客数=購入点数の増加、顧客単価=商品売価のアップの少なくともどちらかが増加する必要があるのです。

年間で考えたとき
今まで:1,000万円=20,000個×500円
今後(1):1,250万円=25,000個×500円(+250万円)
今後(2):1,200万円=20,000個×600円(+200万円)
という試算が成り立ちます。

ということは今後(1)での増収250万円のうちの利益の一部、今後(2)での増収200万円のうちの利益の一部をデザイン費として投資しても、一年以内、早ければ数ヶ月で回収し、その後は増益ラインに乗るということが明確になります。

これはパンフレットでもポスターでもWEBページでもすべて同じ。投資効果を試算すれば、デザイン費を支払う=資源を投入する意味も明らかになるというものです。

5:デザイン費と源泉徴収

依頼したデザイナーは法人所属ですか?個人事業主ですか?

デザイン会社の人であれば通常の支払で問題ありませんが、個人事業主、いわゆるフリーランスのデザイナーの場合には、源泉徴収の一連の手続きが必要となります。

具体的には、支払い時の源泉徴収とその納付、毎年1月の源泉徴収票の作成・送付。

依頼時に個人かどうか確認して経理担当者に忘れずに伝えるようにしましょう。

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執筆者 中島 秋津子

株式会社STUDIO K
デザイン・コーディネーター

中島 秋津子