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食品パッケージの一括表示、新ルール対応費用を投資に変える方法

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食品の裏側に書いてある原材料、内容量、賞味期限、栄養成分などの商品情報。いわゆる「一括表示」ですが、新しい表示ルールができたことは、この業界の人であれば誰でも知っている基本的な事項です。

たとえば変更内容としては、原料原産地表示、添加物の記載方法、アレルギー表示の変更、製造社情報の記載、栄養成分表示の義務化、食塩相当量の表示などなど。

この新しい表示ルールは2015年4月の食品表示法で定められたもので、それまでの複数の法律にまたがって複雑でわかりにくかったものを一本化し、消費者にわかりやすいように変えたもの。発表されたときは至極納得した記憶があります。

そしてこの対応には移行措置期間が定められています。市中在庫もあるので一斉変更!とはならないわけです。消費者向けの加工食品だと2020年3月31日までに製造されるものまでが移行措置、それ以降は完全に新ルールに則って行うことが求められます。

この新ルール、一つひとつはそんなに大事ではないのですが、切り替えをする商品点数が多いと何かと大変。パッケージ在庫がなくなって増刷タイミングで変更するのが一番ロスが無いのですが、タイミングはバラバラで、都度都度デザインデータを変更し、社内在庫をきっちり管理しながら入れ替えを行い、小売店にも「お知らせ」が求められる場合がある。

つまり点数が多いと煩雑なわけです。

既に完全に対応完了している企業もあれば、まだ途中のところも。そしてまだ着手していない企業にとっては「2020年3月31日」までという期限を考えると、そろそろ最後の切り替えラッシュ期なのです。なんと言っても「市中在庫」がありますから、できるだけ前倒しで、市中も社内もきれいに在庫を切り替えたいのがホンネです。

というこの新表示ルール駆け込み対応のこのタイミングでぜひお考えいただきたいことがあります。それは「ブランディング」です。

表示を変えるということは「版」が必要なタイプの印刷包材だと、結局「版代」が発生するわけです。安くて1~2万円/点、高いと10~20万円/点。点数を考えるとクラクラしてきますね。

法対応で必要な「版変更のコスト」ですが、ここに「ブランディング」の観点を入れると、もしかしたら絶好のチャンスなんです。ブランド化していくための。なぜなら単に流出していくだけの「修正費用=コスト」を「ブランド化するための投資」に帰ることができるからです。

通常、既存商品のパッケージを変更するには
⚫変更の版代が発生する
⚫変更のデザイン費が発生する
⚫シリーズ商品だと包材在庫切れタイミングがバラバラでロスが発生する
⚫小売店のバイヤーに連絡して承知してもらうことが必要(あんまりnoはないとしても)
⚫そもそも手間がかかる
というさまざまなコストがかかります。

どうせ変えるのであれば、
「最近どうも売れ行きが落ちてきた」
「競合が増えてきた」
「話題の要素に乗り遅れている」
「若いお客様がつかなくなった」
などの悩みがある商品は「リ・ブランディング」の最大チャンスです。

リ・ブランディングとは「ブランディングし直す」という意味。
⚫時代遅れになったデザイン
⚫シリーズ商品なのに都度都度デザインして不揃いがあるデザイン
⚫社会トレンドで注目されるようになった要素が表現されていないデザイン
⚫独自性が感じられず競合が増えた今では売場で埋もれているデザイン
⚫棚落ちする小売店が増えてきた
⚫会社が思うほど売れ行きが芳しくない
等の時に、「お客様と商品のズレ」「売場と商品のズレ」「時代の気分と商品のズレ」を正し、さらに新たな価値をビジュアル化し伝えていくもの。

通常だと社内でもいろんな事情があって進められないことも、今回は「法律対応」ですから。うるさ型も声をあげないはずです。

同じだけ費用が発生するとしても、ブランド化に向けた投資に変えられるとすれば、それこそ戦略的経営。
弊社でも取り組んでいますが、「義務」として対応するのではなく、「新しい価値創出」を求めて行動するのは、何より気持ちが違います。前向きになりますから。