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《中小企業の採用2》高卒生の就職と企業情報

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▶鹿児島県の高校生の県外就職比率が高いのはなぜ?
求職者のうちまず高校生について調べてみます。鹿児島県の高校卒業生の進路としては、県外就職率が高い特徴があると言われています。「平成30年度新規高等学校卒業者の就職状況に関する調査」でみると、鹿児島県の高卒生の県外就職率は42.9%となっています。これは高校生当人の「県外に行きたい!」という志望によるものなのか、もしくは「県内企業のことを知らない」ことの裏返しなのでしょうか

▶他都道府県の状況は?
鹿児島県が42.9%の県外就職率に対し、同じ九州内だと、
◯福岡  22.1%、大分  26.1%、沖縄  29.8%
◯長崎  37.8%、熊本  38.8%、佐賀  41.3%、宮崎  42.4%
と大きく2グループに分かれている様子です。

同じ地方の中でも関東・関西との距離が近い中部・北陸の様子を見ると、九州とは大きく異なった数値になっており、ほとんどが10%前後です。
◯中部:静岡  8.1%、愛知  3.7%、三重  13.8%
◯北陸:富山  5.1%、石川  8.0%、福井  9.4%

続いて東北の状況を見ると、青森の43.1%から宮城の19.7%まで大きな差があることがわかります。本州の最北端・青森の数値は鹿児島の42.9%と極めて近い数値となっているのが興味深いところです。
◯東北:青森  43.1%、岩手33.9%、宮城19.7%、秋田33.1%、山形23.6%、福島19.3%

都市圏地域を見ると、10~20%代、大阪は7.5%と一桁の県外就職率となっています。先の九州とは歴然とした差があることが一目瞭然。予想通り県外就職率は低くなっています。
◯関東:東京  10.2%、千葉  20.6%、神奈川  22.3%
◯関西:京都  16.3%、大阪  7.5%、兵庫  14.0%

▶県外就職を希望する理由は?
高校生の県外就職率に都道府県別で大きな差があることがわかります。北陸の数値を見ると「都市圏だと地元就職率が高い!」という単純な話とも思えません。そこで、高校生がなぜ県外就職を希望したかのアンケートを見てみましょう。鹿児島県「鹿児島県の高校生の就職に関する意識調査結果(2016)」によるものです。


上位4つがほぼ同程度であることがポイントで、複数の要因が絡み合っていることがわかります。中でも注目したいのが「就職したい企業があった」という選択肢です。高校生の就職活動なので、その会社の商品を買ったことがある、CMで知っているなど消費者としての接点があることや、知人や家族から聞いて知ったというイメージがわきます。学校での推薦指定校制により先生や先輩から見聞きする例もありそうです。

▶県内企業は高校生に向けて情報発信しているのか?
逆に考えると、BtoBの企業や、知名度は低いが事業規模がある会社等には目が向いていないという現実がありそうだと容易に想像できます。高卒生は大卒生に比べインターネット経由での情報収集が少ないという研究もあるようで、高卒生の「就職先としての検討枠」に入るには、高校生の価値観や行動様式を踏まえた接点づくりと情報提供が欠かせないのではないでしょうか。

▶情報がない会社については検討もできない
青森県が平成28年度に高卒生向けに行った調査では、
就職先を決める際、役立った、良かったことは?(3つまで回答)
①会社見学会 55.1%
②会社についての詳細な情報   51.6%
③教員との面談    30.3%
④保護者と相談する時間    25.2%
⑤会社担当者との情報交換    15.2%
という回答結果となっています。上位トップ2の①会社見学会、②会社についての詳細な情報ともに、「会社発信による情報」です。先生や保護者等と相談することはもちろん重要でしょうが、情報がなければ相談もできない、もっと正直に言えば、相談の遡上にも登らないのでしょう。「反応が無い」のではなく、「反応以前の問題」とも言えるかもしれません。



大卒生や転職時はどういう情報入手をするの?

続きは明日。