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企業とデザイナーの関係性の考察

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弊社にて企画運営を行っている、鹿児島県主催「鹿児島の食とデザイン」事業では
8月末に3つのプログラムを開催しました。
1)トークセッション「鹿児島のデザインとデザイナー」
2)セミナー「事例発表 事業×デザイン:ブランド編」
3)展示会「食とデザインのひみつ」を実施しました。

それぞれ少人数での濃いトーク、100名弱でのセミナー、1300人を超えた展示会と
デザインとの関わり方も多彩なプログラムでしたが
これは一つの命題に迫るための3つのプログラムでした。

その命題とは「デザインはデザイナーが生み出すものか」ということです。

もちろん、デザインワークとして目に見える形に仕上げるのは
デザイナーの役割なのですが
デザイナーが企業の課題をどう捉えて、どう咀嚼して、どうアウトプットするのかは
「企業との関わり方、関係構築のあり方」に大きく依存する、のです。

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たとえばセミナーで発表いただいた下園薩男商店の下園さん。
デザイナーの冨永さんと最初に会った時に、冨永さんについて詳しくは知らなかったが
商品の話をしたときに目が輝いていて、一生懸命やってくれそうだと思った、という話をされました。

他にも、デザインの初案がでてきたときに
自分では疑問を感じながらも周囲の反応を調べたりして
独善的な判断にならないような情報収集を行いながら、
個々の反応に右往左往するのではなく、
ご自身で考えるべきブランドの方針を明確化・強化される方向で行動されていました。
(実際、色んな意見を聞いて右往左往して、ブランドの方針が崩れていくケースは非常に多いのです)

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8月25日に開催したトークセッションでは3つのスタイルで
企業の方に「デザイナーという人たちについて」と「デザイナー個々人について」
深く知っていただくプログラムを組みました。

実施後の企業の方のご感想としては「もっと話したかった」という声が多数。
過去年度に実施したプログラムでは「デザインワーク紹介」でしたが
「もっと知りたい」という声はあまりなく・・・。

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展示会では、展示物のデザイン誕生の由来をすべて知っているわけではありませんが
それを見ながら考察をするに、
(これは企業とデザイナーがしっかりと組めているな)と
思えるものと思えないものが、はっきりと二分されました。
そのあたり、どうも透けて見えてくるようです。

ある程度知らないと「知りたい」と思えない。
ある程度知ることで「信じよう」と思える。
そういう構図だと確信をもちました。

企業は何かを作るプロフェッショナル、
デザイナーはデザインで価値を見える化するプロフェッショナル。
そういうプロ同士がよい関係性を築けたときに
きちんと世の中に居場所を得られる事業やブランドが生み出されるのです。

弊社でもそういう関係が構築できている場合は
お互いの方向性を理解しており、力量の発揮領域が明確なので
アウトプットがスケールアウトするケースが多い。
適切な情報が集まりやすく、判断も適切さを増していくケースが多い。
理解が深まっているので、スピード感ある仕事になるケースが多い。
・・・のが事実です。

商品の中身にしろデザインにしろ、ブランドにしろ、
よくいわれるような「丸投げ」ではなく
最後まで筋を一本通していくお立場の企業の経営者や担当者の方が
しっかりとパートナーシップを結べるデザイナーを見つけていくことが
あたらしい価値を生み出す根幹だと改めて実感できたプログラム群でした。