withコロナ時代の小さな会社の適応戦略-04緊急事態宣言下で飲食店を開業する方へ編


新型コロナウイルス感染症の影響に対して、地方の、小さな、BtoBサービスを提供する会社はどう適応したらよいのか、試行錯誤の記録を「withコロナ時代の小さな会社の適応戦略」というテーマで書き記す備忘録&日記シリーズ。
▶最初はここから。
withコロナ時代の小さな会社の適応戦略-0

【目次】
1:知らない人から突然電話がかかってきた
2:「え、今、開業するんですか?しかも飲食店?」
3:「ずっと考えてきたこと、承知の上で開店します」
4:休業・時短営業要請が出された日にオープン
5:時化と荒波と嵐の中で新しい会社が生まれる


1:知らない人から突然電話がかかってきた
2020年4月8日(水)、面識のない方から、突然、会社に電話がかかってきました。「◯◯市の◯◯酒店さんにお名前を聞いて・・・」とのこと。(どこかで聞いた名前だな・・)と記憶を手繰り寄せてみると、昨年11月末に枕崎市で開催された鹿児島県内の全商工会議所女性合同研修でお会いした方でした。その日、私は研修の講師として参加しており、研修後の懇親会にて名刺交換をしつつお話した方でした。ですがそのお知り合いの方がなぜ?と思ったところ、お電話くださった方がその酒屋を訪問したときに、私を紹介されたとのことでした。

その後、◯◯酒店の方からもお電話いただいて、研修時の講演内容に感銘を受けたので紹介したことなど経緯を教えて下さいました。たった1時間の講演でそんなふうに思っていただいて、ほんとうにありがたいことでした。さらに「うちもデザインや伝え方を見直したいので、また相談させて」と仰ってくださったのも嬉しい出来事でした。

2:「え、今、開業するんですか?しかも飲食店?」
さてさて、お電話くださった方、「4月下旬に県内で飲食店を開業予定で内装工事など進んでいるが、お店紹介のためのショップカードなど何も準備ができていない。お店のロゴやショップカードをデザインして欲しい」とおっしゃるのです。

「え、今、開業するんですか?しかも飲食店?」と思わず聞き返しました。4月8日時点は、東京都で2日連続の感染者数最多を更新する前だし、鹿児島ではまだ緊急事態宣言も出ていない時期ではありましたが、すでに飲食店や宿泊業に大きな影響がでていることは報道済の時期。この私の反応、このコロナ環境下では極めて自然なことのように思います。ふだんでは決して言いませんが、今回ばかりは言葉に出てしまいました。

多くの固定客をもっている飲食店でさえ売上が対前年5割減どころか9割減のような状態です。そんな中、初めての独立で、飲食店を開業するとおっしゃるのです。「ほんとうに開業しますか、今?」と聞き返せずにはいられませんでした。

3:「ずっと考えてきたこと、承知の上で開店します」
場所も契約済で3月下旬から内装工事にも入ってて各種の備品・資材なども発注済とのこと。「前々から準備してきたこと。厳しい環境であることはすべて承知で開店します」とおっしゃるのです。であるならば、弊社としては、最善の仕事をする以外ありません。通常より圧倒的な短納期でしたが、デザイナーの和田ががんばって、いかにも「その方らしい、そのお店らしい」、その心が現れたデザインを作り上げてくれました。

なのですが、それだけではどうにも心が落ち着かず・・・。この時期に飲食店を開業するその震えがくるような決断をされ、オープンに向け動いていらっしゃるのです。何ができるかなと考えて、お店のロゴを額装したものと、開店祝いのお花を贈ることにしました。お店の中でお客様の目につくところにその額を飾れば、お客様の中にお店の印象や記憶が付きやすくなる、お花はこんな時期だからこそオープンの日は華やかな店内に・・・そう考えてのことです。額をお送りするときに同封したメッセージには、敢えて「時化も荒波もあるとご承知の上でのオープンだと存じます」という一文を入れました。通常のようなお祝いムード一色のようなメッセージを書くことは、とてもできませんでした。

4:休業・時短営業要請が出された日にオープン
4月24日、予定通りオープン。県内でも離れた場所ですぐに立ち寄ることもできませんが、「嬉しい疲労感の中にいます」というメッセージを送ってくれました。奇しくもその日は鹿児島県でも休業や時間短縮営業の要請がなされた日。開業したてで時短営業やテイクアウトメインという状況になってしまい、人知を超えたを洗礼の真っ只中にいらっしゃいます。ですが「嬉しい疲労感」をお感じだということは、これまでに開業に向けてしっかりご準備されていたこと、そしてこれまでに築き上げてきたご縁・信頼関係あってこそだと思うのです。

5:時化と荒波と嵐の中で新しい会社が生まれる
このコロナ渦の中、新しい会社を設立したり、お店をオープンされる方、きっといらっしゃると思うのです。「大丈夫ですよ」という甘い言葉をかけることは私にはできません。時化や荒波どころか嵐だってやってくるでしょう。悩みに悩んで、迷いに迷って、その上での決断でしょう。

緊急事態宣言の5月6日までで「コロナが収まる」と思う方はさすがにいないはずです。半年なのか一年なのか、はたまたもっと年月が必要なのかはわかりませんが、1ヶ月2ヶ月で収束するような出来事ではなさそうです。短期間のことであれば我慢できるものも、長くなれば我慢だけでは乗り切れません。テレワークのような新しい働き方、オンライン飲み会のよな新しいコミュニケーションが急速に広がると同時に、人々の価値観や暮らし方、働き方も生まれてくるでしょう。既存の会社や商品サービスは、その変化に今から対応していくことが要求されており、それに対応した新しい商品・サービスもどんどん生まれるでしょう。

しかし今までの習慣ややり方、考え方を、特に「組織」という集団の中で変えていくことは、なかなかに難しいものです。「抵抗勢力」という言葉が使われる通り、基本、人間は変化が嫌いです。現状維持が好きなのです。正常性バイアスも働きます。長く続いた習慣や価値観ほど変えるのが難しいものです。「何か新しいことをしなければ」とは経営者の誰しもが思うことですが、実際に「自分たちが新しい考え方・行動をとる」ということとはなかなか結びつかないものなのです。私が正常性バイアスから抜け出るのに時間がかかったように。

ですが、今、スタートするひとたちは、最初から「コロナ時代の価値観」に適応して、というより、適応せざるを得ない状況で事業を開始されることになります。急激な変化に対応しつつの船出です。平常時の起業開業とは違って、迅速な判断、高度な舵取りが要求されるのです。数年たてば、他とは違う企業遺伝子と能力を蓄えておいででしょう

だからどうぞ、知恵を総動員して、どうにか生き抜いてください。生き延び生き抜いて、その中で獲得した新時代の経営力をもって、次の時代を切り開いてください。そうなれば、既存の会社よりよっぽど強靭でしなやかな会社になっているはずです。

私も皆様に遅れないよう、しっかりと生き延びていけるよう、コロナ時代に適応していきます。