
デザインを依頼することが決定したら、最初の打合せを行います。
これはクライアントから見ると「オリエンテーション」、デザイナーから見ると「ヒアリング」と呼ばれるもの。
クライアントは「どんな狙いでどんな条件を満たしたデザインが必要か」についてオリエンテーション=情報提供と方向付けを行い、デザイナーはデザインにあたって必要となる情報や考えをヒアリング=聞き取りを行います。
デザイナーと会う前に準備することは「6.デザイナーと会う前に考えておきたいことは?」にまとめていますが、ここでは「資料」に絞って、もう少し詳細にご紹介します。
1.必要な資料とは
デザイナーとの初回打ち合わせでは、プロジェクトの目的や背景を共有するための資料が必要です。これらの資料により、デザイナーがプロジェクトを正しく理解することができ、より効果的な提案を行うことができます。
一般的な情報もありますが、何かと何かの情報が結びついてデザインアイデアが生まれることは多いものです。
書面が望ましいのは聞き間違いや漏れを防ぐため。公式サイトのプリントアウトでも大丈夫です。書面をもとにヒアリングすることで、より深い情報収集・ヒアリングが可能になります。
下記にあげたすべての資料が無い場合は、有るものだけでも集めてみてください。
2.会社について
1)会社案内・会社概要について
会社の基本情報は最初に確認したいところです。お持ちの会社案内のほか、下記項目をまとめておくと漏れなく伝わります。
- 理念や経営方針
- 所在地、支社、営業所
- 事業内容
- 各種許認可、資格
- 設備
- 売上
- 従業員数
2)事業領域
自社が展開している事業内容や得意分野を具体的に説明する資料です。これにより、デザイナーが企業の強みや特徴を理解しやすくなります。
- 事業種
- 主な商品・サービス
- 主な販路
3)沿革
会社の沿革を記載した資料は、会社としてのストーリー性や強みを理解するのに役立ちます。
- 創業
- 法人化や会社名称の変更
- 拠点や移転
- 新事業の開始
- 既存商品・サービスの販売開始
- 設備投資
- 受賞・認定・資格取得など
4)今後のビジョン・方向性
企業が目指す未来像や価値観を共有することで、デザインが長期的なブランド戦略と調和したものになる可能性が高まります。
- 事業計画(の一部)
3.既存の商品・サービスについて
1)商品・サービス概要、ラインナップ
現在提供している商品やサービスの特徴、ラインナップを整理した資料です。各商品のターゲット層や用途も明記すると具体性が増します。
- 名称
- 概要(プロダクトだと原料・内容量・形状・注意事項など)
- 特長、アピール点
- 販売予定価格
- 販売目標
2)主な売場や営業体制
商品の販売場所(店舗、オンラインなど)や営業体制(直販、代理店など)について説明することで、セールス方法を踏まえたデザイン提案につながります。
- 直接販売か間接販売か
- リアル店舗かオンライン販売か
- 地域
- 想定する売場・業態
- 営業方法(既存、新規)
- 営業体制(人数、特徴)
3)市場からの評価点
顧客や市場から現在既存で評価されているポイントを共有すると、会社・商品・サービスがもつイメージの理解に役立ち、デザイン開発に現在のブランド資産を生かすことができます。
- 売場からの声
- 利用者(使用者、消費者など)の声、レビュー
- 社内からの声
4.今回のデザイン案件について
1)デザインしたいもの
制作物の具体的な例をあげます。これによりデザイナーが作業範囲を理解できます。
- ロゴタイプ
- ロゴマーク
- 商品パッケージ
- 包装紙
- ショップバック
- 梱包用ダンボール
- ポスター
- SNS用画像
- プロモーショングッズ
- 会社案内
- 会社の公式サイト
- 名刺
- 社用封筒など事務用品
- 商品パンフレット
- 展示会用ツール
- 店頭用什器
- POP
- 看板
- メニュー
- ユニフォーム など
2)狙いと仕様
今回のデザインで達成したい目的(例:売上向上、ブランド認知度アップ)と仕様(サイズ、材質、形式など)を共有します。
3)コンセプトとターゲット像
商品のコンセプトとターゲット層を明確化して伝えることが重要です。
→コンセプトとターゲットについてはこちらのページをご覧ください。
4)アピールポイント
商品の強みや他社との差別化ポイントを、市場の環境と合わせてまとめましょう。
たとえば、下記のような例が考えられます。
- 他にはない機能やデザイン
- シリーズ展開(サイズ・量目、色、用途など)
- コストパフォーマンス、クラス感
- 安全性・安定性
- 科学的な特長(低カロリー、故障率低いなど)
- SDGs(環境や地域社会への配慮)
- ターゲット層の評価、テスト販売での評価
5)売場・使うシーン
実際の利用状況に適した機能するデザインが生まれるために、商品の販売場所や使用場面の情報はデザインを検討するための必要な情報です。相手が違えば、デザインが変わります。売場が違えば、デザインは変わります。
6)スケジュール
納品までのスケジュール感については最初に確認しておきましょう。
- 最初のデザイン提案
- 2回目のデザイン提案
- 撮影日
- デザイン要素入手日(写真、イラスト、文章など)
- 校了
- 納品
- 使用・販売開始 など
7)社内体制や製作体制
特に社内での意思決定プロセスは、スケジュールや提案方法の組み立てに直結します。また製作体制(印刷手配担当者や外部業者との連携など)がわかるとスムーズな進行につながります。