鹿児島のデザイン会社とその選び方~ADC日本のアートディレクション展で考えた

先日、東京出張の合間に銀座で開催されていた「ADC日本のアートディレクション展2019」に行ってきました。場所は会員展示と非会員展示の2箇所。歩いて5分なのでとても移動しやすかったです。


最初に、会場のドアをあけると真正面に展示してあるのが、井上嗣也さんが手掛けたコムデギャルソンのグランプリ作品。圧倒的な強さ、ほとばしるエネルギー。このポスターは確実に目が留まる。そのくらいの強さがあります。何のポスターか一瞬わかりませんが、それ自体が(これ何?)と足を留めさせる力になっているようです。文字として書いてあるわけではないですが、何かを問われているような、何かを探られているような、そんな気持ちがわきあがってきました。

上位入賞したデザインワークについてはアートディレクターのコメントも一緒に掲載されていたのですが、実はこのコメントに一番感銘を受けたのです。クライアントとの話から始まる「デザイン前」のプロセスや、そこからどのように課題にアプローチしたか、それをグラフィックとしてビジュアル化したのか。その掘り下げ方と表現の深さがすばらしく、また言葉選びも非常に巧みだと感じたのです。

説明をしないと成立しないデザインは弱いと思いますし、でも説明もできないようではクライアントに第3者ならではの新しい視線を提案することはできません。この説明というのが曲者で、アイデアの貧弱さや腕の弱さを補うための説明だと、本当に、寝たくなるほどつまらないんですよね。

デザインの良し悪しって、結局当初の課題解決、ゴールに向かえたかということが一番で、それを分解していくと
デザイン力=
①課題理解力✕②解決策の探索力✕③コミュニケーションの着想力✕④接点構成力✕⑤デザイン力
の5つの要素があるのではないか。この5つが伴っていないと、この展示会におけるコメントのようなことは言えないだろうと思われるのです。

鹿児島のデザイン会社ではこの5つがすべて揃っているところは本当に少ない。ディレクターとしてみててそう思います。色々と理由はあるでしょうが、一番は「専門を持たない」ことかもしれません。タイポグラフィに強いとか写真使いがうまいなどの専門、ポスター・紙面・WEBなどメディアによる専門、車・アパレルなど業種による専門など、得意な分野があれば、それはつまり「量を経験する」ことになります。量体験することで思考も技量も行動も基本フォーマットができます世阿弥が言うところの「型」というものです。量無きものは型がないので質が伴いません。量を体験することが、じつは多様なジャンルへに転用・展開していく力が生まれる最短距離なのではないでしょうか。

たとえば弊社だと「食✕デザイン」と絞ったことで、この分野で圧倒的な蓄積を生むことができました。上記の①~⑤のうち、特に①②は量の経験がものをいう力です。同種のものを数多くこなすことで「①課題理解力・②解決策の探索力」が育っていくと、「③コミュニケーションの着想力・④接点構成力・⑤デザイン力」がどの分野でも活かせるようになるようです。③④⑤だけで勝負していると掘り下げ方が非常に浅い、安易なデザイン、よくあるデザイン、同じアイデアばかりのデザインになっていく。

いや、ホント、同じアイデアの似たデザインって多いんですよ。お茶はいつも似たデザイン、美容院はいつも似たデザインになってしまう会社さん、多いみたいです。そしてデザイン公募の企画運営に携わる機会が多いものとして、声を大にして言いたい。「ほんとうに同じアイデアの似たデザインって多いんですよ」。③の着想力=アイデアに頼っているデザイナーは「いつも似たアイデア」になってしまうんです。

「デザインが効果を発揮しない」というご相談をいただくことがあるのですが、
デザイン会社選びのポイントとして「思考・技量・行動」において「独自の型」があるか
を重視することをオススメします。

そう考えてみると、最近弊社で「食分野」ではないご相談・ご依頼が増えているのも、食分野ので経験で独自の型ができ、食以外のジャンルにも汎用適用できるほど量を重ねてきたからかも…と書いてて感じてきました。